最終更新:2026-07-19
📚 この記事は、警察庁・各都道府県警察・e-Govの法令など公的な一次情報にもとづき、航路編集部が内容を確認しています。
古物商許可は、交付を受けて終わりではありません。営業を始めると、取引を正しく記録し、決められた標識を掲げるといった継続的な義務が生じます。中でも中心となるのが「古物台帳」への記録と、営業所に掲示する「古物商プレート(標識)」です。このページでは、定年後やセカンドキャリアで中古品売買を始める方に向けて、古物台帳の書き方とプレートの様式を、2025年10月1日の改正も踏まえて丁寧に整理します。
許可後の3大義務
古物営業法は、盗品などの不正な流通を防ぐため、許可を受けた事業者に次の三つの義務を課しています。これらは「防犯三大義務」とも呼ばれ、事業を続けるうえでの土台となります。
- 確認義務(本人確認):取引の相手方が誰であるかを確かめる義務です。
- 不正品の申告義務:買い受けようとする品に盗品などの疑いがあるときは、警察へ申告する義務です。
- 帳簿等(古物台帳)への記録義務:取引の内容を古物台帳に記録し、保存する義務です。
いずれも防犯上きわめて重要で、記録・保存義務に違反すると罰則の対象になります。難しく身構える必要はありませんが、日々の取引の中に自然と組み込んでおくことが大切です。以下では、実務の中心となる古物台帳とプレートを順に見ていきましょう。
古物台帳の記録項目と保存期間
古物台帳には、一定金額以上の取引について、次の項目を記録します。手書きの帳簿でも、パソコンで作成した電子データでも構いません。
| 記録項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 取引年月日 | 買受け・売却を行った日付 |
| 品目・数量 | 古物の種類と数(例:腕時計 1点) |
| 特徴 | メーカー・型番・製造番号・サイズ・色など、品を特定できる情報 |
| 相手方 | 取引相手の住所・氏名・職業・年齢 |
| 確認方法 | 本人確認をどのように行ったか(免許証の提示、非対面での確認手段など) |
| 代金 | 取引の金額 |
保存期間は、最終記載日から3年間です。1件ごとに帳簿を閉じるのではなく、最後に記入した日から3年間さかのぼって保存する点に注意しましょう。電子データでの保存も認められていますので、後述するExcelなどの表計算ソフトで管理すると、検索や集計が楽になり、保存期間の管理もしやすくなります。買い受けた古物を売却したときも取引にあたりますので、仕入れと販売の両面で記録を残す習慣をつけておくと安心です。
記録が必要な取引額の原則
すべての取引を記録しなければならないわけではありません。原則は、1回の取引が1万円以上の買受け・売却です。これを下回る少額の取引は、次に述べる例外品目を除き、記録の対象外とされています。まずはこの「1万円」という基準を押さえておきましょう。
1万円未満でも記録・本人確認が必要な例外品目
ただし、盗難が多く被害回復の必要性が高い品目は、金額が1万円未満であっても記録と本人確認が必要です。従来から定められている例外品目は、次のとおりです。
- 自動二輪車・原動機付自転車(及びその部品)
- 家庭用ゲームソフト
- CD・DVD・Blu-ray などの光ディスク
- 書籍
これらを扱う場合は、金額の大小にかかわらず、原則どおり台帳への記録と相手方の確認を行ってください。
2025年10月1日の施行規則改正で、金属盗対策として次の品目が例外に追加されました。いずれも1万円未満でも本人確認・記録が必要です。金属価格の高騰を背景に盗難が相次いだことを受けた改正で、扱う予定があれば必ず確認の運用に組み込んでおきましょう。
- エアコンの室外機
- 電気温水機器のヒートポンプ(室外機)
- 電線(ただしLANケーブル・TVケーブル・延長コード・充電ケーブル等は除外)
- 金属製グレーチング(側溝の格子ぶた。コンクリート製は対象外)
本人確認の方法
相手方の確認は、取引の形態に応じて方法が分かれます。
- 対面の場合:運転免許証やマイナンバーカードなど、公的な本人確認書類の提示を受けて確認します。
- 非対面(ネット取引など)の場合:本人確認書類の画像送付や、住所へのはがき送付による到達確認、電子署名の利用など、法令で認められた方法で確認します。
いずれの場合も、相手方が名乗った内容をそのまま信じるのではなく、書類などの客観的な資料で確かめることが求められます。確認した方法は古物台帳の「確認方法」欄にも記録しておきましょう。ネット取引や出張買取など、非対面・営業所外での取引を行う予定がある方は、届出との関係もあわせてURL届出・行商の解説をご確認ください。
古物商プレート(標識)の様式と掲示
営業所には、公安委員会の許可を受けた事業者であることを示す「標識」、いわゆる古物商プレートを掲示します。様式は法令で細かく定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大きさ | 縦8cm×横16cm |
| 色 | 紺色地に白文字 |
| 材質 | 金属・プラスチックなど、相応の耐久性があるもの |
| 記載事項 | 上段:許可番号(12桁)/中央:取扱区分+「商」(例:美術品商)/下段:氏名または商号 |
この標識は、営業所の見やすい場所に掲示します。ネット通販のみで営業する場合でも、サイト上に許可情報を表示する必要があります。プレートは書店や防犯協会、ネットの専門店などで作成でき、記載を誤ると作り直しになりますので、許可証の内容を確認しながら注文しましょう。
Excelの台帳テンプレートで運用する
古物台帳は電子データでの保存が認められているため、Excelなどの表計算ソフトで管理するのが実用的です。取引年月日・品目・数量・特徴・相手方の情報・確認方法・代金の列をあらかじめ用意しておけば、記入漏れを防ぎ、3年間の保存も容易になります。
『航路』では、はじめての方でもすぐに使える無料テンプレート(顧客管理・在庫管理・仕入れ利益計算)をご用意しています。台帳だけでなく仕入れや利益の管理にも役立ちますので、開業準備とあわせてご活用ください。列の並びを記録項目に合わせておけば、日々の取引を入力するだけで台帳が整い、確定申告や在庫の把握もぐっと楽になります。許可取得までの全体像を振り返りたい方は、取り方の全体ガイドもあわせてご覧いただくと理解が深まります。
古物台帳とプレートは、地味に見えても事業への信頼を支える大切な仕組みです。ひとつずつ整えて、安心して新しい一歩を踏み出しましょう。
本人確認の具体的な方法や標識の掲示場所、記録の運用など、細部の取扱いは都道府県や管轄によって異なる場合があります。最終的な取扱いは、必ず営業所を管轄する警察署(生活安全課)でご確認ください。