最終更新:2026-07-20
📚 この記事は、警察庁・各都道府県警察・e-Govの法令など公的な一次情報にもとづき、航路編集部が内容を確認しています。会社設立の費用は法務局・日本公証人連合会の公表内容にもとづく一般的な目安です。
「これから会社を立ち上げて、法人として古物商を始めたい」「すでに会社があり、その法人で古物商許可を取りたい」——そうした方に向けて、この記事では法人で古物商許可を取得する流れを、個人との違い・必要書類・会社設立との順番・費用の目安に分けて整理します。手続きの全体像を先につかんでおくと、迷わず準備を進められます。なお、個人と法人のどちらで取るか自体で迷っている方は、先に古物商許可は個人と法人どちらで取る?もあわせてお読みください。
大前提:許可は「法人名義」で取る(個人の許可は使えない)
まず押さえておきたいのが、古物商許可は名義人に対して与えられるという点です。個人で取得した許可は個人のものであり、あとから会社を設立しても、その許可を法人にそのまま引き継ぐことはできません。法人で営業するなら、法人として改めて新規の許可申請を行う必要があります。
そのため、将来的に法人化を見据えているのであれば、「個人で取り直しになる手間を先に済ませてしまう」という考え方で、最初から法人で取得しておくのも一つの選択です。逆に、まずは小さく始めたい場合は個人で取得し、事業が育った段階で法人化と許可の取り直しを検討する進め方も王道です。
会社設立と古物商許可、どちらが先?
結論として、会社設立が先です。法人での古物商許可申請には、定款や登記事項証明書(登記簿謄本)といった、会社が存在していることを示す書類が必要になります。したがって、手続きの順番は次のようになります。
会社を設立し、登記を完了させる
株式会社・合同会社などの形態を決め、定款を作成し、法務局で設立登記を行います。この段階で、定款の「事業目的」に古物営業に関する記載を入れておくのがポイントです(後述)。
登記事項証明書・定款など、申請書類を揃える
設立後に登記事項証明書を取得し、役員全員分の書類とあわせて準備します。書類は発行から3か月以内のものが求められるものがあるため、取得のタイミングに注意します。
営業所を管轄する警察署に、法人として許可申請する
営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課(防犯係)を経由して、都道府県公安委員会に申請します。標準的な審査期間は土日祝を除いて約40日が目安です。
会社設立の手続きそのものを効率よく進めたい場合は、必要書類を無料で作成できるオンラインサービスを使う方法もあります。定款や設立書類の作成をガイドに沿って進められるため、はじめての設立でも迷いにくくなります。
法人で申請するときの必要書類
法人での申請は、個人の場合の書類に加えて、会社に関する書類と役員全員分の書類が必要になります。主なものは次のとおりです。
| 書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 許可申請書(法人用) | 法人の名称・所在地・役員などを記載する様式。 |
| 定款 | 事業目的に古物営業に関する記載があること(後述)。写しに原本証明を付す運用が一般的。 |
| 登記事項証明書 | 法人の登記内容を証明する書類(登記簿謄本)。 |
| 役員全員分の書類 | 役員それぞれの略歴書(過去5年分)・住民票(本籍記載・マイナンバーなし)・身分証明書(本籍地の市区町村が発行するもの)・誓約書。 |
| 管理者の書類 | 営業所ごとに置く管理者の略歴書・住民票・身分証明書・誓約書。役員が兼ねる場合もあります。 |
| URL使用権原の疎明資料 | ネットで取引を行う場合に必要(ドメインの登録者を確認できる資料など)。 |
住民票や身分証明書は発行から3か月以内のものが求められます。役員の人数が多いほど、書類集めに時間がかかる点は先に見込んでおきましょう。個人・法人それぞれの書類の詳細は必要書類のページでも整理しています。
定款の「事業目的」に古物営業を入れる
法人で古物商許可を取るうえで見落としやすいのが、定款の事業目的です。一般的に、定款の事業目的の中に「古物営業法に基づく古物商」など、古物営業を行う旨の記載があることが求められます。会社設立の段階で目的に含めておけば問題ありませんが、既存の会社で目的に記載がない場合は、目的変更の登記が必要になることがあります。
定款の記載方法や必要書類の細目は、都道府県や警察署によって取り扱いが異なる場合があります。申請前に、必ず営業所の所在地を管轄する警察署(生活安全課)に、最新の必要書類と定款の記載についてご確認ください。
費用の目安
法人で古物商を始める場合の費用は、大きく「会社設立にかかる費用」と「古物商許可の申請費用」に分かれます。会社設立の費用は形態によって異なり、おおまかな目安は次のとおりです。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 資本金の0.7%(最低15万円) | 資本金の0.7%(最低6万円) |
| 定款認証の公証人手数料 | 資本金額に応じて3万〜5万円 | 不要 |
| 定款の収入印紙代 | 紙の定款は4万円/電子定款なら不要 | 紙の定款は4万円/電子定款なら不要 |
| 古物商許可の申請手数料 | 19,000円(個人・法人とも同額/不許可・取下げでも返還なし) | |
このほか、書類の取得費用(登記事項証明書・住民票・身分証明書などの発行手数料)が実費でかかります。会社設立の費用は資本金額や紙・電子定款の別によって変わるため、上表はあくまで一般的な目安です。古物商許可そのものの費用については費用の記事で詳しく整理しています。
注意点:役員全員が欠格事由に該当しないこと
法人で許可を受けるには、役員のいずれもが欠格事由に該当しないことが条件になります。役員の一人でも該当者がいると、法人として許可を受けられません。誰が該当し得るのかは欠格事由のページで確認しておくと安心です。また、許可取得後に役員や名称、営業所などに変更が生じたときは、期限内の変更届出や書換申請が必要になる場面があります。
まとめ
法人で古物商許可を取る場合は、①会社を設立して登記を完了させ、②定款・登記事項証明書・役員全員分の書類を揃え、③管轄の警察署へ法人として申請する、という順番が基本です。個人の許可は法人に引き継げないこと、定款の事業目的に古物営業を入れておくこと、役員全員が欠格事由に該当しないこと——この3点を押さえておけば、大きくつまずくことはありません。全体の流れをもう一度確認したいときは取り方 完全ガイドを、個人との比較で迷ったときは個人と法人どちらで取る?をご覧ください。