最終更新:2026-10-01

📚 この記事は、警察庁・各都道府県警察・e-Govの法令など公的な一次情報にもとづき、航路編集部が内容を確認しています。

古物台帳の話は、たいてい「買ったとき」で終わります。いくら以上なら書く、1万円未満でも書く品目がある——ここまでは古物台帳とプレートや本人確認のやり方で扱ってきました。

でも条文は、買ったときと売ったときの両方を対象にしています。そして🔴 売ったときのルールは、買ったときとまったく別物です。先に結論を書きます。

🔴 古物を売った(引き渡した)ときに帳簿へ記載が必要なのは、次の4種類だけです。

美術品類/時計・宝飾品類/自動車(その部分品を含む)/自動二輪車及び原動機付自転車(その部分品を含む)

それ以外の古物は、金額がいくらであっても売却時の記載は免除されます。
(古物営業法 第16条ただし書/同法施行規則 第18条第1項)

条文は「受け取り、又は引き渡したとき」と書いてある

古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という。)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。
(古物営業法 第16条 柱書)

記載する事項は5つです。①取引の年月日 ②古物の品目及び数量 ③古物の特徴 ④相手方の住所・氏名・職業・年齢 ⑤法15条1項でとった措置の区分(1号・4号は方法まで)。

注目すべきはただし書です。ここには免除の出口が2つあります。

規則18条1項は「二重否定」で書かれている

法第十六条ただし書の国家公安委員会規則で定める古物は、次の各号に該当する古物以外の古物とする。
一 美術品類
二 時計・宝飾品類
三 自動車(その部分品を含む。)
四 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(対価の総額が第十六条第一項で定める金額未満で取引されるものを除く。)を含む。)
(古物営業法施行規則 第18条第1項)

読みにくい条文ですが、順に当てはめると答えが出ます。「記載しなくてよい古物」=「この4号に挙がっていない古物」。裏返せば、4号に挙がっている古物だけが、売ったときも記載が要るということです。

⚠ 4号の括弧書きに注意してください。バイクの部分品は「1万円未満で取引されるものを除く」とあります。つまり1万円未満のバイク部品は4号から外れ、売却時は免除になります。本体は金額に関係なく4号に残るので、1万円未満でも売却時の記載が必要です。

自動車だけ、相手方を書かなくてよい

もう1か所、自動車のための特則があります。法16条4号は記載事項を「相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く。)の住所、氏名、職業及び年齢」と書いており、この「規則で定める古物」は規則18条2項で「自動車である古物」と定められています。

⚠ 自動車を売ったときは、買った人の住所・氏名・職業・年齢を台帳に書く必要がありません。ただし免除されるのは相手方の4項目だけです。取引の年月日・品目・数量・特徴(自動車登録番号、車名、車台番号など)は、変わらず記載が必要です。バイクには、この特則はありません。

一覧表で確かめる

和歌山県警察本部が公表している『古物営業の手引き』(令和7年10月)の別紙2が、買取時・売却時を並べた一覧になっています。条文と突き合わせた結果は次のとおりです。

売買の価格が1万円以上の取引

古物の種類買取りの際の
相手方の確認
帳簿
(買取時)
帳簿
(売却時)
美術品類確認する記載する記載する
時計・宝飾品類確認する記載する記載する
自動車(その部分品を含む)確認する記載する記載する(ただし相手方の住所・氏名・職業・年齢は免除)
自動二輪車・原動機付自転車(部分品を含む)確認する記載する記載する
上記以外の古物確認する記載する免除

⭕ 1万円以上でも、ブランドバッグも家電もカメラも、売ったときは台帳に書かなくてよい——これが見落とされがちな点です。買うときは全品目で確認も記載も必要なのに、売るときだけ4種類に絞られます。

売買の価格が1万円未満の取引

古物の種類買取りの際の
相手方の確認
帳簿
(買取時)
帳簿
(売却時)
美術品類/時計・宝飾品類/自動車(部分品を含む)免除免除免除
自動二輪車・原動機付自転車(本体)確認する記載する記載する
同 部分品(ねじ・ボルト・ナット・コード等を除く)確認する記載する免除
同 部分品のうちねじ・ボルト・ナット・コード等免除免除免除
家庭用ゲームソフト/CD・DVD・ブルーレイ等/書籍/エアコンの室外機・電気温水機器のヒートポンプ・電線・グレーチング(金属製のものに限る)確認する記載する免除
上記以外の古物免除免除免除

🔴 1万円未満で売却時にも記載が要るのは、バイク本体ただ1つです。2025年10月1日に金属盗対策で追加されたエアコン室外機・電線・グレーチングなども、買うときは1万円未満でも記録が必要ですが、売るときは免除されます。追加の経緯は古物営業法の改正まとめにまとめています。

書いたあと——3年間の備付けと、毀損したときの届出

記載した帳簿等は、最終の記載をした日から3年間、営業所または古物市場に備え付けておかなければなりません。電磁的方法による記録なら、記録した日から3年間、直ちに書面に表示できる状態で保存します(法18条1項)。

また、帳簿等や記録をき損・亡失・滅失したときは、直ちに営業所の所在地を管轄する警察署長に届け出る義務があります(法18条2項)。⚠ これは「なくしました」で済む話ではなく、届出をしないこと自体が罰則の対象です。

怠るとどうなるか

⚠ 免除されていても、書いておく実益はあります。売却先の記録は、あとから品物の行方をたどるときや、仕入れ・在庫・利益の管理をするときに効きます。法令上の最低ラインと、自分の店の運用は別の話です。記載の要否や様式の細部は都道府県によって案内が異なることがあります。営業所を管轄する警察署(生活安全課)で必ずご確認ください。本記事は法令にもとづく一般的な情報提供であり、個別の取引の適法性を保証するものではありません。

よくある質問

古物台帳は、売ったときにも書くのですか?

品目によります。古物営業法16条は「受け取り、又は引き渡したとき」を対象にしていますが、同条ただし書と施行規則18条1項により、引き渡したときに記載が必要なのは美術品類・時計宝飾品類・自動車(部分品を含む)・自動二輪車及び原動機付自転車の4種類だけです。それ以外の古物を売ったときは記載が免除されます。

自動車を売ったとき、買った人の住所や氏名も台帳に書きますか?

不要です。古物営業法16条4号の括弧書きと施行規則18条2項により、自動車である古物を引き渡した相手方の住所・氏名・職業・年齢は記載事項から外れています。取引の年月日・品目・数量・特徴は必要です。

1万円未満なら、売ったときの記載はまったく要りませんか?

1つだけ例外があります。自動二輪車・原動機付自転車の本体は、1万円未満でも売却時の記載が必要です。その部分品は1万円未満なら免除されます(施行規則18条1項4号の括弧書き)。CD・DVD・書籍・ゲームソフト・エアコン室外機などは、買うときは1万円未満でも記録が要りますが、売るときは免除です。

帳簿はいつまで保存しますか?

最終の記載をした日から3年間、営業所または古物市場に備え付けておく必要があります(古物営業法18条1項)。電磁的方法による記録の場合も、記録した日から3年間、直ちに書面に表示できる状態で保存します。

書かなかったときの罰則は?

6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(古物営業法16条違反=同法33条2号)。虚偽の記載も同じ扱いで、拘禁刑と罰金が併科されることもあり(同法36条)、法人の従業者が違反すれば法人にも罰金が科され得ます(同法38条)。

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